潜在力は大きいものの、ベトナムでバイオマスエネルギー分野は発展していない。
決定1855/TTg号の国家エネルギー開発目標によると、2020年までにベトナムは、再生可能エネルギー の割合を5%に、2025年に11%に引上げる。現在バイオマスエネルギーの貢献は小さく150MW程度と見られるが、潜在力では2,500MW以上を供 給できる可能性がある。
ベトナムには、バイオマスエネルギーを発展させる条件が揃っている。農林業における廃棄副産物は潤沢で、木材加工で出る廃材や籾殻、藁、サトウ キビの搾りかすなどを活用できるからだ。毎年メコンデルタでは380万トンの籾殻が出るため、上手く活用すれば、この地域の電力問題を解決できる。商工業 省エネルギー局によると、現在バイオマスエネルギーは石油換算で4,300万~4,600万トンあり、うち60%が木材加工から出る廃材、4%が農産品か らの廃材である。
すでに大きな電力を使用する生産企業で、生産活動で発生する廃材を活用している例は複数あり、Ben Tre製糖のNguyen Thanh Son会長によると、全国では37の製糖工場が、サトウキビの搾りかすを発電・ボイラー燃焼に利用している。ただ製糖工場は時期により操業するため、年間 6カ月は燃焼を止めねばならず、ボイラーの運転効率が悪い。そのためいかにボイラーの運転時間を延ばし、電力網に販売できる電力を生み、工場の資金源とし ていくかが課題である。ベトナムサトウキビ・砂糖協会は先日、サトウキビ廃材から1,900MWの電力開発を行い、これを再生可能エネルギー開発リストに 補充するよう政府に提案している。
ただベトナムは原料が潤沢なものの、例えば99%の精米工場は規模が小さく分散し籾殻の回収が非常に困難という面もあり、これがバイオマス発電の開発計画に影響を与えると見られる。
(Thoi Bao Kinh Te Viet Nam)