【シンガポール=青木伸行】パネッタ米国防長官は3日、ベトナム中南部のカムラン湾を視察した。4日にはハノイで、ベトナムの首相、国防相と会談する。ア ジア・太平洋地域での米軍の関与を強化する一環として、カムラン湾を米国の非同盟国における米軍艦船の“拠点”とすべく、軍事協力関係を強化する方針。中 国を牽制(けんせい)する狙いだ。
ベトナム戦争後、米国防長官のカムラン湾訪問は初めて。パネッタ長官は米軍の貨物船上で、軍事協力関係を「次のレベルに引き上げる。主要な要素が米軍艦船のカムラン湾施設の使用であり、ここには大きな潜在性がある」と述べた。
ベトナム戦争当時、米軍基地が置かれたカムラン湾をベトナム政府は、米軍をはじめ各国の海軍艦船に、修理や物資補給などのために使用させる方針。
米軍は地域への艦船を質量ともに増強し、同盟国にローテーション配置する戦略で、非同盟国では地政学上の要衝であるカムラン湾に注目してきた。長官はベトナム側と、艦船の寄港頻度や停泊期間、便宜供与なども協議するとみられる。